そうした中で日本が直面している大きな課題は経済問題を解決することだろう。
政府が推進している成長戦略の成否が今後の日本の進路に大きく影響を及ぼすことには疑問の余地がない。
カンガルーマンが考えた成長戦略プログラム案の一つは以下の通りだ。
中小企業活性化への道!
成長戦略―第3の矢プラス
クオリティライフスタイル(生活の質)向上化政策の提言
世界の富裕層市場を攻略して新たな市場創造
【前提】
世界経済停滞が長期にわたっており、その回復の糸口が見えない状況が続いている。バブル崩壊以降、わが国もそのスパイラルの中に入って抜け出せず国債を発行することで国民の生活を支えてきた。
過去の日本経済の牽引力は輸出で企業が潤い、その潤ったお金が国民に還元され国内需要が喚起された。資源の乏しい我が国にとって現在でもその基本構図は変わっておらず、輸出なくして日本経済は立ち行かないと言っても過言ではない。安倍政権になってから円安傾向となり、輸出企業に対して為替益という側面では役だったものの実際の輸出量増加という面ではまだ効果が出てきていない。
それではこの悪循環をどのようにして解決したら良いのか?
それは輸出インフラを持っている大企業のみならず中小企業さらには国も一丸となって戦後の経済復興に寄与した輸出振興に匹敵する「新たな戦略的輸出振興プロジェクト」を立ち上げるべき時となっている。
【世界的経済停滞の主原因】
1.これまで世界経済を牽引してきた日本を含む欧米先進諸国市場が飽和状態になっていることに尽きる。
2.飽和状態になっているところに、中国、韓国、台湾、東南アジア諸国をはじめとするアジア圏諸国や他の所謂中進国の生産供給能力が飛躍的に向上した。
3.しかしこれらの中進国が世界経済を牽引するだけの購買力を持つところまでには至っていない。
結果として「作る人は多くいるものの買う人が居ない」という状況に陥っているのが、現在の世界経済であり、これが停滞の元凶となっている。
【我が国が取るべき新たな世界市場発掘政策の勧め】
現在政府が推進している発展途上・中進国向けインフラ関連輸出に加えて、年収3000万円以上の富裕層クラスを対象にした世界市場開拓の実施。
*現在日本企業が輸出している消費財あるいは生産財のほとんどは世界の中間層を対象にしたクオリティが中心となっている。
ボストンコンサルティングレポートによると1億円以上の家計金融資産を持つ世界の富裕層は約1,600万世帯となっている。またこうした世界の富裕層の資産総額は4,500兆円とも言われている。
【具体案概略】
1.各省庁、大使館、クールジャパンプロジェクト、ジェトロ、フロスト&サリバン等の調査会社、電 通等大手広告会社との連携。
2.市場開発・マーケティングを目的とした世界の富裕層ライフスタイルデータベースの構築。
3.世界富裕層市場ニーズ発掘班(現地フィールドワーカー)の創設。
4.世界富裕層市場にマッチングする国内企業の製品・サービスの発掘あるいは開発支援。
*特に日本が誇るクラフトマンシップ(職人技術)に基づいた製品・サービス
5.中小企業の海外展開及び輸出振興支援(この分野については既に経済産業省、商工会、政府系金融機関等がさまざまなプログラムを用意している。)
【当プロジェクトが日本経済にもたらすメリット】
1.市場拡大。日本企業が既に確保している世界市場に新たな市場が追加される。
2.優れた技術、アイデア、製品、サービスを持っている大企業のみならず中小企業のビジネスチャンスが拡大し活性化に繋がる。
3.さらにこうした中小企業のグローバル化と企業レベルが向上。
4.輸出に関与している企業が潤い、利益が従業員に還元される。
5.日本人の生活の質そのものの向上に大きく貢献でき、国内でも新たな市場が作られる。
6.ひいては国内市場が活性化し実需創造という面で経済停滞からの脱出が可能となる。
【さらなるクオリティライフスタイル(生活の質)向上サイクルの創造】
日本人の生活の質は戦後大きく向上した。そしてその質をさらに向上させようとする国民の意欲とクオリティライフスタイルを手にいれようとする意識やクオリティを見極める目はとどまるところを知らない。ただ残念なことに、それだけ成熟した意識と目を多くの国民が持っていながらそれを実現するための収入が追い付いていないのが現状ではなかろうか?
*世界の富裕層市場確保で生活の質向上サイクルの創造は可能
ということで今後の成長戦略で私達の生活の質が大きく向上することを期待したいものだ。
生産財の開発 び消費財製造に必要な生産財の開発