これまで国が作った借金の大まかな使途はどうだったのだろうか?
細かい数字等は財務省のHPを見ていただければわかるのだが、国家予算の約35%(社会保障28%、公共事業7%)位を社会保障費(年金・介護・福祉等)と公共事業に費やしている。
かなり大雑把な計算だが、単純に借金を1000兆とした場合、社会保障費に280兆、公共事業に70兆、その他中小企業安定化で40兆くらいこれまで使ったことになる。
いずれにしても莫大なる金額をこうした分野に使ってきた。
公共事業やその関連事業従事者やその家族、公務員や公共団体従事者やその家族、中小企業社員やその家族等、国が面倒を見てきた分野は想像できないほど広がっている。
具体的な数字をたどって行けば多分数千万人という単位になるだろう。
そして彼らは同時に消費者でもある。
給料としてお金をもらってはいるが、間接的に国からお金を支給されているようなものである。
こうして支給されたお金が、日常生活品、車、被服等で出費され、そしてそれらを生産・販売している企業の懐に入り、ひいてはそこで働いている人たちの給料として還元されてゆく。
つまり国の借金が、回りまわってほとんどの国民に戻ってゆきながら経済の循環につながっている。
結論から言えば、私たち日本人の生活そのものが大きな借金を背負って成り立っているといっても過言ではない。
国民自身がそれを借金として実感していないだけだ。
一つの例をあげよう。
ここにA社があるとしよう。
そこは業績不振で赤字続きだ。従業員は100人。
会社は借金をしないと資金繰りに困り即倒産状況にある。従業員の給料も払えない。
日本にはこうした状況にある中小企業がたくさんある。
忘れてならないのは日本企業の90%ほどが俗に言うところの中小・零細であるということだ。大手企業の占める割合は10%にも満たない。
会社の社長は、資金繰りのために政府系金融機関に融資を申し込む。そうすると、国の政策でセーフティネット経済安定化資金とかでさまざまな融資プログラムがあり、そこのプログラムで認定されると銀行から融資を受けられたりする。
融資が受けられると会社は、従業員の給料を払ったり、仕入れに回したりして会社を運営してゆく。
ところが会社の従業員達は、給料としてお金をもらうものだから国から借金したお金という実感は全くない。あるのは社長と財務担当者だけだ。
それに国が貸すお金そのものが国債を発行して得た借金から回ってきたお金だったりして借金のマタ貸しみたいなことになっていたりする。(厳密に言うと、銀行の貸し出しに対して国が保証するという形をとってはいるが・・。)
ここで考えなければならないことは、この借金構造の本質だ。
本質がどこにあるのか?
その議論はまた次回に・・・・・
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