このところ気が張っているというか、いろいろな事に集中して取り組めるようになった。
ある朝、カンガルーマンは横浜方面行き京浜東北線に乗っていた。乗客は少なく、カンガルーマンの対面に2−3人、それから同じ列に数人座っている。カンガルーマンは本を一生懸命読んでいる。
すると、足元に何かコロコロと転がってきた。何気なくそれに目を落とすと、四角い形をした黒い物体だ。カンガルーマンは「誰かのボタンが外れてこちらに転がってきたんだな。」と思い、それを拾って、何故そう思ったか今でもはっきり覚えていないのだが真正面に座っている30歳ぐらいの男性の前に立って尋ねた。
「ボタンを落としましたよ。」といって、その黒い物体を差し出した。
すると、その男性はニヤニヤしながら手を横に振っている。
カンガルーマンは「これ、あなたのボタンでしょう?」と言いながら、あらためて手の中にある物体を見た。
何と!それはボタンではなく”黒色のノド飴だった”。
エッと思いながら周りをチラッと見回すと、周囲の人達が一斉にパッと目を伏せている。その男性の横の人達を見ても首を横に振っている。
そのとき、カンガルーマンはつっ立ったまま瞬時にそのノド飴をどう処置するか考えたが、いい方法が浮かばない。床にもう1回放り出すわけにもいかない。
そこで、しょうがなく何事も無かったようにして飴を握った手をポケットに突っ込んで元の席に戻ってまた本を読み始めた。
ところが、飴をポケットに入れたままにしておけば良かったのだが、その飴がどうにも気になっていたせいか握ったまま本を読んでいた。
そのうち、飴が溶け出して手がベタベタしてきた。ティッシュを取り出して拭くと今度は飴がティッシュと手の両方にこびりついて収拾がつかなくなってきた。
ついに我慢できなくなり、目的地は大森だったのだが品川で降りて駅のゴミ箱に捨てる事にした。電車を降りて車両を見るとカンガルーマンの周りに居た乗客がみんなこちらを見ている。
きっと、カンガルーマンがちゃんと飴玉をゴミ箱に入れるかどうか確認したかったのか、それとも「アホなやっちゃ」と思ってこちらを見ていたのか定かではない。
いずれにしても、これはカンガルーマンが本と考え事にあまりにも集中していたために、頭の動きと体の動きがミスマッチして起きた現象だ。
結果として約束の時間に遅れ散々な朝となった。
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